「車いじり」という言葉を聞くと、ジャッキで上げた車にウマを掛け、その下に潜っていくイメージが強いんだけど、間違った方法でジャッキアップをすると、かなり危険だ!
最悪のケースで、1トン以上の重量物が落ちてくるんだ。当然無事では済まないだろう…
上の画像のようなリフトがあれば安全で楽チンなんだけど、さすがに一般家庭におけるようなものではないだろう(笑)
こういう整備中の事故というのは、だいたい安全確認を怠った結果大きな事故になっているので、その辺りも含めてこのページでは車体を持ち上げる「ジャッキアップ」と呼ばれるものについて書いていこうと思う。
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車を持ち上げるのに必要な「ジャッキ」
エンジンのオイル交換をする時、車体を上げずに手が届いて廃油を受けれるならいいんだけど、ローダウンした(車高を落とした)車や、ミッションオイルのように車体の奥にあるボルトを緩めるのであれば、ジャッキアップと言って車体を持ち上げる作業が必要になる。
DIYではそんなケースもあれば、タイヤを1個ずつ交換するだけの比較的軽い場合もあるので、その時々によって使用するジャッキを変えることで、作業の効率が良くしながら安全を確保できるんだ。
その、使い分けるジャッキの種類として、これら4つのジャッキを紹介しておこう。
- 車載ジャッキ
- 油圧式パンタジャッキ
- ガレージジャッキ(小)
- ガレージジャッキ(大)
どれもあると便利なので、保管スペースさえ許せば一通り揃えておき、使い分けていくのも良いだろう。
ジャッキの種類その1:車載ジャッキ
これは少し前の車だったらどの車にも載っている、手動でクルクル回して車を持ち上げるタイプのパンタジャッキだ。
このジャッキのメリットは、
- 車内に収納場所が決まっていること
- コンパクトで軽量なこと
また、デメリットとしては、あくまでもパンク時にスペアタイヤと交換するなどの緊急用のため、手動でクルクル回して上げていく必要があるので、かなりしんどい(笑)
しかも、よく伸びるサスペンションだと、ジャッキいっぱいまで上げてもタイヤを取ることができない場合もある(経験談)ので、緊急事態でもない限り、率先して使うほどのものではないと俺は思う。
また、こういうアイテムを使うことで、ソケットレンチやインパクトレンチを使ってジャッキアップができるようになるが、あまりオススメはしない(笑)
ジャッキの種類その2:油圧式パンタジャッキ
これは車載と同じくパンタ式のジャッキだけど、油圧の力で持ち上げることができるジャッキだ。
油圧式は一度使うと戻れないぐらい楽にジャッキアップをすることができるので、車載ジャッキを降ろして、こちらを車に積んでおいても良いレベル。
ただし、車載のジャッキより重い(約7kg)のと、少々高価なのがデメリットだ。
また、雑に扱っていると油圧部分のオイルが漏れたり、高く上げすぎると不安定になり、危険な場合もあるので注意が必要になるだろう。
油圧なので楽に持ち上げることができるんだけど、バルブがしっかり閉まっていないと、持ち上げた車が降りてくる危険があるので、確実にしっかり閉めよう
ジャッキの種類その3:ガレージジャッキ(小)
こういった小型のガレージジャッキは、俺の中では使用頻度が高い。
女性には少々キツイがそんなに重くない(約12kg)ため、小回りが効き、パンタジャッキよりも安定感がある。
またリーチ(長さ)が60cm程度あるので、少々奥にあるジャッキアップポイントにも届かせることができる本格派。
そのうえ、車にもなんとか積んでおくことができるサイズだろう。
俺も使っているこのジャッキは使いだしてから10年以上経つけど、まだまだ使えるので耐久性もなかなかのものだ!
使い方は、パンタジャッキと同じ部分でジャッキアップしてもいいし、あとで解説するが車体フレームにあるジャッキアップポイントで上げることも可能だ。
ジャッキの種類その4:ガレージジャッキ(大)
大きめのガレージジャッキで、どっしりとした安定感とグイグイ持ち上げるパワーは、一度体験すると一家に一台欲しくなるそんなジャッキだ!
その安定感・パワーと引き換えに、重量が30kg近くあるので持ち運びにはあまり適さないため、常備できるガレージがある人におすすめだ。
ジャッキアップって意外とパワーがいるからね(^_^;)
また、ガレージジャッキ(小)よりも長さがあるため(上記ので全長が約80cm)奥まったところにあるジャッキポイントも簡単に届くだろう。
ただし、エアロ(フロントスポイラー)が付いていれば、割ってしまわないように注意しよう。
ジャッキアップ時に車に掛けるポイント
ジャッキを掛けるポイントは、パンタジャッキとガレージジャッキで違う。
正しい場所にジャッキを掛けないとかなり危険なので、そのポイントを解説しておこう。
ただし、車種によってポイントが変わってくるので、作業前にインターネットで調べるか、カーディーラーで整備士の人に聞いておくと良いだろう。
このページでは「スバル R2」でのジャッキアップポイントを紹介するので、イメージを掴んてもらえたらと思う。
ジャッキアップその1:パンタジャッキを掛けるポイント(一ヶ所)
パンタジャッキは1輪ずつタイヤを付け外しする時に使うものなので、自然とタイヤに近い部分に掛ける事になる。
画像の○部分はフレームの他の部分よりも補強されていて、1トンを超える車重を1点で支えても車体に支障がないようになっているので、その部分にパンタジャッキを掛けると良いだろう。
もちろん反対側も同じようにジャッキアップポイントがあるので、作業前にポイントの確認をしておこう。
ジャッキアップその2:ガレージジャッキを掛けるポイント(前輪)
ガレージジャッキの場合は安定感を生かして車体の前後にあるポイントを使って、左右の前輪・後輪を一気に持ち上げることができる。
スバル R2の場合は、フロントバンパー裏のこの部分にガレージジャッキを掛けることで、左右の前輪を一気に上げることができる。
実際にジャッキをかけるとこのような感じになる。
間違ってもエンジンオイルが溜まっているポイントに掛けないように注意しよう。
そこは頑丈にできていないので、穴が開いたり凹んでしまったりするんだ。
凹んでしまうとオイル交換の時にエンジンオイルの量が変わって(少なくなって)しまうので注意しよう!
ジャッキアップその3:ガレージジャッキを掛けるポイント(後輪)
前輪駆動車(FF車)の場合、大半の車種では車体後方のジャッキアップポイントは写真のようにフレームの補強部分となっている。
この部分にガレージジャッキを掛ける事で、左右の後輪を一気に持ち上げることができる。
また、ここでは割愛するが、後輪駆動(FR車)や4輪駆動(AWD)の場合は、リアデフに直接掛ける事もできるんだ。
より安全な作業をするためにジャッキアップをサポートする「リジットラック」
このページを読んでジャッキの使い分けと、ジャッキアップポイントについて少しは理解ができたと思う。
しかし、これだけでは安全確保という点では不十分なんだ。
特にガレージジャッキで持ち上げた後、車体が落ちてこないように「リジットラック(ウマとも呼ばれている)」と呼ばれる道具で支えてやることで、安全性はぐっと高まるので、それも合わせて紹介しておこう。
この道具は、ガレージジャッキで左右の車輪を持ち上げた後、パンタジャッキを掛ける部分に高さを合わせて用意し、ジャッキを下ろすことでリジットラック(ウマ)の上に車体が乗っかる形になる。
そうすることで、車体の転落を防ぐという仕組みなんだ。
これは、車をジャッキアップして、下に潜る必要がある時は必須の安全対策なので、ガレージジャッキと合わせて揃えておきたい道具だ。
実際に使うとこのような感じになる。
ジャッキポイントに置く場合は、クッションとなるゴムを併用した方がジャッキポイントの保護にもなるのでオススメだ!
また、車の下に潜るときは特に注意が必要で、
- リジットラック(ウマ)
- 外したタイヤを敷く
- ジャッキをどこかに当てておく
これぐらいの安全対策をやってても良いぐらいだ。
理想としては、「作業中に地震が起こってウマから車体が外れてしまっても最悪の事態にならないようにする」といったところだろうか?
絶対的な正解がない分、最悪の事態を想定し、それを回避できるように対策しておくことをお勧めする!
まとめ:ジャッキの使い分けとジャッキアップポイント
車の整備をする時は、ジャッキアップという作業がほとんどのケースで必要になるので、ジャッキアップに関する安全はしつこいぐらいに確認しよう!
不安定だと作業に集中できなかったり、思いもやらないミスをしでかしたりしてしまう。
また、最近地震がちょくちょく起きているので、揺れた時に車体が落ちてくるといった事故が起こる可能性も無きにしも非ずだから、安全はできる限り確保してから作業をしてほしい。
ジャッキアップに関する道具は、効率を良くするだけでなく「安全を買う」ということにもつながるので、自分で整備をする機会が多い人は、必ずそろえておいてほしいと思っている。
しかし、修復歴のある車の場合、適当に処置された車だと、このようにジャッキアップポイントが陥没してしまう場合がある。
俺が乗っていたインプレッサ GC8で実際に起こったケースで、これは注意しようがないことだけど、一応注意してくれ(笑)
そんな車を掴んでしまわないためにも、中古車を購入する時は信頼できるところで買いたいところだ。
・カーセンサー(Carsensor.net)
このあたりでじっくりと後悔のないように探すことをオススメする。
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